第9回ネオ自由律公募(2003年11月)論評
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審査委員長の挨拶及び泰平賞の発表 投稿者:審査委員長 投稿日: ___________________
≫第9回(2003年11月期)泰平賞発表≪
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挨拶:どうもどうも。ネオ自由律公募も9回目を迎えちゃいました。今月期は12/14に行われた「Geisaiミュージアム」(2度目の六本木ヒルズ森タワー!)出品の関係で締め切りを大幅に遅らせていただきました。その甲斐あって(?)今回は225句もの投句がありました!!ぱちぱちぱちぱち!!皆様どうもありがとうございました!!
…しかし実は225句というのは番号上の話で実際はそれより10句程少ないのです。最初の方で番号が10ズレていて気付いた時には時既に遅し、投句番号を素材にして詠まれた句が沢山あったため戻せなくなってしまったのです。ということで今回から投句番号を素材にして詠まれた句の評価を少し落とすことにしました。笑。ま、良いものは良いし、今回も番号を素材にして詠まれた句が最終候補に残っているのでそれほど気にしなくても良いのでしょうが、これからはマイナス評価だぞということです。キモに命じてくださいということです。笑。
…では泰平賞及び各賞を発表します。
<泰平賞>
しらゆきふわりふわりふわり(by:Yuna, No.1036)
さくらはらりはらりはらり(by:Yuna, No.1039)
すばるきらりきらりきらり(by:Yuna, No.1040)
【最終候補】
て女 あそ しバチ
いも んう いカェ
たつ たよ バッ
:か カ
:れ
:
自もす┐思が┐
由のなキっ終飢
ががわュたわ餓
なあちウらっ地
いり リ た獄
すけ地 と└
ぎっ獄
てこ└
う
な
そいそ やゆ待らこ なそ こな守あ河┐とそ
うえう りっっ の あう れららる童掟思れ
だば まくてま地 だ もぬねたで地っが
な しりるた獄 地とばめ 獄た終
あ ょ の次が 獄い に └らわ
う よの終 だう っ
地わ わ た
獄っ
がた
:なよ鮎あ河そ
:っうをせ童れ
:たにとらはか
るず ら
に (by:八重, No.960)
【最終候補】
今日が締切りです。(他5句)
この句は場所の都合で一部分のみの掲載となっております。全文はこちらでご覧になれます。(by:せんとりす, No.1160-1165)
【最終候補】
…より こせさえして
あおいにあおくなりあおくいることもないだろう(by:いっちー, No.953)
【最終候補】
1234567891011121314151617181920212122232425262728293…
4184284384484584684784884985085185285385485585685785…
この句は場所の都合で一部分のみの掲載となっております。全文はこちらでご覧になれます。(by:hjimmshit, No.1062)
【最終候補】 お父さんはケーキが大好き!だから、わたしの誕生日ケーキも半分は、食べちゃう。(by:かみゅ, No.1071)
【最終候補】 http://www.taihei.org/(by:Putta, No.1167)
【最終候補】 Mama sivin.(by:のえら, No.1030)
【最終候補】 銀行(by:マーガレット・パーカー, No.1028)
【最終候補】 ズボン!(by:うめさん, No.1049)
【最終候補】
911. Yuna:そこから引き上げたのは あなたが一番欲していたもの
32. ひさよ:桜色の桜
879. eizo:自由の作り方
787. いっちー:心地良い耳鳴り
87. オルポゴ:イケてる外人
465. まるがり:ゲロ吐き評論家 (by:のえら, No.1086)
《奨励賞》
スペースの関係で番号と作者名のみの発表とさせて頂きます。
No.948(by:505), No.955(by:せんとりす), No.958(by:knomti2),
No.969(by:かみゅ), No.972(by:kiku), No.973(by:hun),
No.974(by:よよよちこ), No.975(by:東風), No.979(by:eizo),
No.991(by:のえら), No.1000(by:せんとりす), No.1001(by:Yuna),
No.1002(by:Yuna), No.1005(by:いっちー), No.1008(by:ぇだ),
No.1012(by:スリップ), No.1017-1019(by:わけわかいんない君), No.1023(by:ナポレオンソロ),
No.1027(by:せんとりす), No.1029(by:のえら), No.1031(by:Yuna),
No.1033(by:のえら), No.1035(by:のえら), No.1042(by:マーガレット・パーカー),
No.1045(by:オルポゴ), No.1047(by:Yuna), No.1048(by:へげへげ),
No.1058(by:のえら), No.1060(by:せんとりす), No.1066(by:D pink),
No.1070(by:マーガレット・パーカー), No.1074(by:せんとりす), No.1081-1085(by:人 妻子),
No.1089(by:八重), No.1094(by:べム), No.1097(by:D pink),
No.1108(by:タップ), No.1114(by:のえら), No.1116(by:せんとりす),
No.1117(by:のえら), No.1118(by:ma), No.1119(by:ホール・イン・王),
No.1131(by:ひろし), No.1132(by:せんとりす), No.1136(by:eizo),
No.1137(by:マーガレット・パーカー),No.1141(by:D pink), No.1144(by:Yuna),
No.1150(by:べム), No.1155(by:eizo).(順不同)
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<評>
[9t]
> しらゆきふわりふわりふわり… (by:Yuna, No.1036)
「ネオ自由律に限らず、作品には強い作品/弱い作品がある。考えれば考える程その根拠はわからなくなるのだが、もしかするとそれは異性のかっこいい/かっこよくない・可愛い/可愛くないの判断に似ているのかもしれない。
人間で例えるとややこしくなるので動物を客観視してみよう。昔、確か「ジャポニカ学習帳(ノート)」の裏表紙の豆知識欄かなんかで読んだ孔雀の話で興味深いものがあった。どうやら孔雀の世界にもモテる/モテないがあるらしいのだ。あの美しい羽はオスにしか生えてないもので、アレは確か求愛のためにメスに向かって自慢げにオッピロゲルための道具なのだが(かなりうろ覚え情報)、あの羽にある目玉模様の多さでその孔雀のモテる/モテないが変わってくるらしいのだ。目玉が多いとモテて、少ないとモテない。面白いことに、多すぎてもダメらしく「程よく多い」のが一番なのだと。もっと真剣に分析したら、おそらく流行りスタリみたいなものも見えてくるだろう。気候の状況や土地の健康状態、食料が安定している時期/そうでない時期によってモテる目玉模様の装いも変わってくるのではないか。飽食の時代にはヴィヴィッドカラーの目玉模様がウケたり、不景気にはこじんまりとした癒し系の模様がモテたり…笑。まぁそんなことはどうでも良いのだが、要するに、このように人間も動物もなんだか似たような判断でパートナーを選んでいるのかもしれないということが言いたいのである。で、その判断とはもちろん、種の保存・繁栄を第一に考えた、より健康で長生きする赤ちゃんを生める/生ませられるであろうパートナーを選ぶ、というものだ。人間も孔雀も、いうならば、相手の「生き残る能力」を動物的に判断しているのだろう。
パートナー選びだけではない。動物のすべての行動が、種の保存・繁栄を第一に考えたものであるように思えてならない。「個性」や「仲間」といったものも「種」の子分だとすると、必ずしも物質的な生命体でなくとも、それがひいては種の保存・繁栄に繋がっていくのであるなら人間は精神の種も保存・繁栄しようとするのではないか。そう考えると、何かが好き、何かが嫌いという判断も上述した動物の本能を反映しているように思えるのである。
この考え方をネオ自由律の強い作品/弱い作品の判断に照らし合わせると何かが見えてくる気がする。作品を作る行為を「生む」と称すことがあるが、何を隠そうこの「天下泰平プロジェクト」における「ネオ自由律という概念」は私泰平が生んだ作品なのである。おそらく、私という「種」、コンセプチュアルアートという「種」、自由律俳句という「種」、日本文化、創造力、想像力などなどの「種」の保存・繁栄を目的に動物的本能で生んだものであろう。故に「ネオ自由律」における強い作品/弱い作品の判断規準は、それらの種を保存・繁栄する能力があるかどうかの動物的判断に基づいたものといえるのだ。以上Yuna氏の句の論評を何度も書きなおしているうちに辿り着いた真理である。
■ スーパーフラットネオ自由律
この句を最初に見た時、これは「スーパーフラットネオ自由律だ!」と思った。「スーパーフラット」とはご存知、先日出品した「Geisai」のチェアマンである村上隆氏が提唱する表現様式であり、物質的にも精神的にも奥行きを拒んだ日本文化のスタイルを特徴づける概念である。奥行きのない、カワイイの最果てにあるこの「スーパーフラット」な句は村上氏がアートの世界に「強い」作品を提示し続けるかのごとくに、ネオ自由律の世界に「強い」力を放っている。
■ 自然・天然な表現
この句は、語呂を合わせるためか、(「お星様」ではなく)「すばる」だったり、「しらゆき」、「はらりはらり…」だったり、微妙にズレた言葉を選択している。それがいわゆるステレオタイプの追従ではなく、Yuna氏の純粋な創作意欲からでた自然の言葉であることを物語っていて説得力がある。その感じがまたこの句の強度を増しているのであろう。
■ 自然・流麗な誕生過程
この句はNo.1035(by:のえら)の句を展開し生まれたものである。初稿時は黒字だったが、展開が終了したと同時に輝きはじめた(編集され色がついた)。その誕生過程が、セミの羽化時のメタモルフォーゼのごとく流麗だったので感動した。
[91]
> て女 あそ しバチ…(by:八重, No.960)
私がネオ自由律の審査をする時、まず始めにすることは、投句がオリジナルかそうでないかを確認する作業である。その句が引用であったりパロディーであったりした場合、オリジナルとして審査してしまうと齟齬をきたすことになるからである。もちろん、それだけではなく著作権の侵害にならないかの確認もあるし、その表現、ネタがどれだけユニークかというチェックにもなるので、最近では趣味のようにほとんどの句を検索にかけてたりするのだ(そんなことをしているから審査が遅くなるのだが…)。
この句の内容はとてもクオリティーが高く、パッと見、素人がポンと書けちゃうようなものとは一線を画した装いだ。これを八重氏がオリジナルで書いたのなら、それは評価に値することである。引用だとしたら、どのような文献のどのような場面からの引用かによってとらえ方が変わってくる。となると、これ程検索して身元を暴きたくなる句も珍しいくらいなのだ。早速検索エンジンにかけるためコピペを試みるが、内容が縦書きなため「 て女...........あそ.............しバチ…(1行目)」というような、本文とは全然違う文章しか拾えない。仕方がないので1文字ずつ手で打ち込んでいく。その時!はたと!気付く!ココで投句された内容は「チェッ バカバカ シイ…」ではない。そう見えているだけで実は「 て女...........あそ.............しバチ…」なのだと。だから「チェッ バカバカ シイ…」の正体を暴くこと自体見当違いな、それこそバカバカしいことなのだと。笑。つまり、この句はコンピューターには把握できない、人間のみが日本語として正常に把握できる句なのである。つうかもっと言うなら、この「河童の話」は人間が特定の文字列を勝手に組み換えて読んでいるだけの幻の文章なのである。
… きっと河童もそうなのだ。実在しないものを人間が勝手に河童だと勘違いしているだけなのだ。この句は、そんな幻の「河童」と、幻の「河童を描いた文章」とを掛けて詠んだ、計算しつくされた句なのではないか。語ろうとすればこの句だけで、人間のエゴイズムやIT時代の著作権問題の話が延々出来る程よく出来ている句だ。また、それだけではなく、雲やオーロラが偶然何かのカタチに見えた時に感じるようなロマンも提供してくれるのだからシビレるではないか。
…八重氏、アタマ良すぎるぜ。
[92]
> 今日が締切りです。(他5句)(by:せんとりす, No.1160-1165)
ネオ自由律公募の審査は今回で10回目となるが歴代の受賞作品を見ていて気付くのは「感覚的に詠まれた句」の優秀作品がとても少ないということ。厳密にいうとすべての創作物は感覚的なのだろうが、ここでいう「感覚的に詠まれた句」というのは、何故面白いか、何故良いかの説明がしにくい、いわば「理屈抜きで面白い句」のことだ。しかしそういう投句が少ない訳ではない。むしろ投句は「感覚的に詠まれた句」の方が多いくらいなのだが、それが優秀作品として評されることが少ないのはなぜなのか。それは、共有感覚の中での、内輪ウケの「面白い」を追求している句が多いからである。(ここでいう「共有感覚」とは、場の雰囲気や調和を保つことのできる「当たり障りのないモノ」のことである)
満員電車で一人手持ち無沙汰にしていると周りの会話が耳に入ってくることがあるだろう。当人達は喜んでいるにも関わらず外部から聞いてて面白い話とそうでない話がある。私の個人的な意見かもしれないが、外部から聞いてて面白い話というのは「外部に向けられた」話なのである。言い換えると、それは会話をしている団体の共有感覚を振払おうとしている、内輪ウケを超越しようとしているものだ。外部の、共有感覚を持たない人間にとっては共有感覚を超越しようとしているか否かという部分しか面白い/面白くないの判断材料になり得ないから当然だ。実際その共有感覚が振払われているかどうかは問題ではなく、共有感覚を振り切ろうとする姿勢(もしくは調和を乱そうとするパンク精神)そのものが人を魅了するのではないかと思う。
せんとりす氏のこの句は、「目の前にある現実」と「無闇に拡大された妄想」そして「ウサン臭いセンチメンタリズム」という超アクロバティックな、緩急をつけた連続投句で共有感覚を必死に振払おうとしている。躁鬱病的暴走のようにも見え、身近にこんな人がいたら怖いと思うかもしれないが(笑)自宅でせんべいをかじりながらネットやってる人達からしてみたらこのくらいはやって欲しいという感じなのだろう。こういう句が増えてくるとネオ自由律はもっともっと面白くなるはずだ。…以上「感覚的に詠まれた句」の名作を眼前に思ったことである。
[93]
> …より こせさえして…(by:いっちー, No.953)
「 …より こせさえして」…はぁ?何語だ?「あおいにあおくなりあおくいることもないだろう」…んん?どう言う意味だ?さっぱりわからん。なのになんなんだろうこの説得力は。適当な言葉の羅列とは全く違ったエネルギーと美しさが備わっているではないか…。
いっちー氏はこれまで一貫して、感情の断片をぱらぱらと組み合わせていったような、一見すると詩のようにも見える独自のネオ自スタイルを貫いてきた。行間だけで見せると言っても過言ではないこのようなスタイルで句に高い完成度を持たせるためには相当な文学的才能と知識と経験が必要であろう。そのため、いっちー氏の努力は果たして日の目を見るのだろうかと実は少し心配していたのだ。もっと単純に、もっと軽〜く考えれば楽なのに、と内心哀れんでいたくらいだ。笑。しかし私の思いとはウラハラに、いっちー氏は日に日にエスカレートし、どんどん、難しい方向へ、難しい方向へと暴走していったのだ。その姿はまるで「北風と太陽(*)」の話の「北風」のようでもあった。次々と服を着込んでいく旅人に向かって、これでもかと冷たい強い風(比喩です)を吹き続けたのである。そんな最中生まれたこの句には、まるで北風の超突風でとうとうコートを脱がしちゃった!!…っていうくらいのウルトラC感が宿っているのだ。この語りようのない言葉の説得力はおそらく上述した、いっちー氏のかたくなな姿勢からにじみ出てきたものなのであろう。妥協をせず自分のスタイルの延長線上で戦い、勝利する。カッコよすぎる勝ち方だ。嗚呼、私もこうありたいものだ。
*「北風と太陽」:北風と太陽、どちらが先に旅人のコートを脱がせるかを勝負する。北風は風を吹き付けて脱がそうとするが、旅人はコートを余計深く着込む。後攻の太陽が暖かさで包むと旅人はコートを脱ぎ、太陽が勝つというお話。
[94]
>1234567891011121314151617181920212122232425262728293…(by:hjimmshit, No.1062)
この句は1から順番に1061(この句の投句番号の1つ前の数字)まで数えていったという強烈な句である。いや、数えたと言うよりはひたすら番号を並べた、という方が近いか。ケタが増えても同じテンポで数字を並べていっているため途中から見ると区切りなく延々続く数字の羅列の中に置かれたような感覚になる。やってることはとてもホットだが、表現はイタってクール。何とも魅惑的な句である。
最初に気になるのはこの句が手作りなのか、それともなんらかのプログラムにより出来た句なのかということであろう。よ〜くよ〜く見ていくと、5つの数字が抜けており、2つの数字が重複しているのである(詳細はNo.1066, D pink氏の句参照)。このことからどうやらこの句は一つ一つの数字を手で入力して詠まれた句であろうと言えるのだ(すげ〜)。その姿を思い浮かべるだけでも充分面白い。
で、次に気になるのはこの句が何を言わんとしているかだ。この句の投句番号の直前でカウントは終わっていることから、この句はネオ自の歴史すべてを素材に新たなネオ自を詠もうとしていると思われる。まるでこれまで投句されたネオ自由律達の思いを記念碑に刻印していくかのようなクールな表現で。
…以上、勝手に決めつけてみたが、はたしてそうなのだろうかという疑念も残る。これは本当に手作りなのだろうか。本当に「ネオ自の歴史全部を素材に詠む」というコンセプトがあるのだろうか。番号の欠落/重複はミスではなく、プログラムにより羅列した数字になんらかの意図でもって故意に手を加えていったのではないか。…といった疑問はいつまでたっても解かれることがないのだ。この句は、クールな表現、徹底した姿勢、壮絶なエネルギー、そしてその隙間に見せるほんの少しのヒントで我々を壮大なミステリーへと誘っていく。
余談だが、知る限り、この句がこの作者の初投句であろうという事実がさらなる魅力を加えていたりもする。
[95]
> お父さんはケーキが大好き!だから、わたしの誕生日ケーキも半分は、食べちゃう。(by:かみゅ, No.1071)
なんとこの句は のえら氏のお子さま(8才)が詠んだネオ自由律とのこと。キーボードの使い方から教え、かみゅちゃん本人に投句させたものらしい。天才なのか、偶然なのか、とにかくこの句はすごい。…まず名前について。かのアルベール・カミュからとったものであろうか。あまり本を読まない私でもカミュ=不条理という図式くらいは知っている。句の内容は、父さんがケーキが大好きで自分の誕生日ケーキも半分は食べてしまう、というものだ。…なんと!ふじょうりだぁ!(カミュ:かみゅ=不条理:ふじょうり)。この句もしっかりふじょうりなのだ。それだけではない。内容にもカミュなみの文学的インプリケーションがしっかりあるのだ。おそらくかみゅちゃんはネオ自由律を父ののえら氏に投句するよう勧められこの句を詠んだのであろう。「さぁ何でも良いから自由に詠んでみなさい」と優しく導く父の姿を見て、自分の誕生日ケーキも食べてしまう自分本意の父の姿を思い起こしたのであろう。笑。「ケーキ」という言葉を「ネオ自由律」という言葉に置き換えたらわかりやすい。「お父さんはネオ自由律が大好き!だから、わたしの詠んだネオ自由律も半分は、食べちゃう。」と…。笑。「私は父さんに利用されているのだぁ」という、子供らしい、かわいらしい「ふじょうり」が実はここに無駄なく表現されているのではないか。
…ていうか「大好き!」とか「半分」とか「食べちゃう」とかいった言葉の選択にキュン!子供が不満をもらす時に見せる愛の一端に親子のすばらしい関係性も伺えて、ああ何とすばらしい句なのだろう!なんてすばらしい親子関係なんだろう!俺も早く子供が欲しいなぁ〜、とか思ったりしてしまうのである。
[96]
> http://www.taihei.org/(by:Putta, No.1167)
taihei.orgと表示されているリンクをクリックするとhentai.orgというエロアニメサイトに飛ぶ。この句はいわゆる「だましリンク」がついた句である。このだましリンクを貼るという行為、実は少し危険(?)だったりする。Googleという検索エンジンをご存知だろうか。現在、世界で一番利用されている検索エンジンである。そのGoogleの検索で得られる情報は、Googleのロボットがインターネット空間にある膨大な情報をリンクをつたって収集していき、独自のアルゴリズムでランク付けしていったものである。(システムについての長い専門的な話は端折り、いきなり本題に入るが)「exit」という言葉をGoogleで検索すると一番目にGoogle、2番目にYahooが表示される(2003年12月現在)。いずれのサイトにも「exit」という言葉は出てこないのになぜか。それは成人向けサイトの「21才以上の方はENTERからお入り下さい。21才以下はEXITから退出して下さい。」とかいう年令認証ページで「EXIT」のリンク先ににこれらのサイトが指定されていることが多いからなのだそうだ。つまりGoogleのロボットは言葉だけではなく、言葉と貼られたリンク先との関係性をも認識し検索結果に反映しているということなのだ。
taihei.orgに貼られたhentai.orgへのリンク、次にGoogleのロボットが廻ってくる時、Googleロボットはこれら二つのURLの関係性を見い出すであろう。そしてそれ以降、この句が消滅しない限り永久にtaihei.orgとhentai.orgはひそかに繋がり続けるのだ。だましリンク、それはIT時代に生まれた、なんともささやかな、生々しい悪戯なのである。
[97]
> Mama sivin.(by:のえら, No.1030)
この句は第5回泰平賞句「Mi amas vin.(by: 八重, No.263)」のアナグラムである。アナグラムとは”言葉の綴りの順番を変えて別の語や文を作る遊び”のこと(from広辞苑)。つまり「Mama sivin.」は「Mi amas vin.」内の文字を並び変えて詠んだ句なのである。過去のネオ自由律を素材に新たなネオ自由律を詠む、ということではNo.821の八重氏の句ナドも浮かぶが、この句はネオ自由律史上初めてネオ自由律のアナグラム化に成功した句として評価する。内容も興味深い。元ネタの「Mi amas vin.」はエスペラント語(世界語)で「I Love You 」という意味である。「Mi amas vin.」の論評にも書いたが「世界の民が話せる共通言語」という夢の痕跡があるこの言葉をいじくり「Mama sivin.」…「ママ…しびん」(で良いんですよね)に変えているのである。それは、まるで世界語の夢そのものが、トイレすら一人でいけなくなってしまう程衰弱してしまった状態を表わしているかのようだ。悲しき現実。それが「Mi amas vin.」自身の構成要素から生まれたメッセージだということを思うと感慨深い。エスペラント語が「世界語」では到底ない「日本語」に変わってしまってるという点も面白い。
[98]
> 銀行(by:マーガレット・パーカー, No.1028)
銀行…だけかよ!ってつっこみたくなるような句。句というか単語。単語なのに句。笑。単語のみをネオ自由律として投句するのはまだわかるが、それが「銀行」というとこがポイント。「銀行」は清潔感、無機質感、緊張感、安心感、威厳、嫌悪感、不穏な空気ナドナド、様々なイメージが同居している単語である。故にこの句は単語のみで詠まれた句であるにもかかわらず噛めば噛む程に色を変え、カタチを変え、味を変えていく句となり得るのだ。句だけではない。マーガレット・パーカーという、どこかの会社のCEO風の名前もそれを誘発している。…金融業界に精通した金持ちCEOがひょんなことからネオ自由律を詠もうと思った。秘書が短冊を手渡す。副社長、息をのむ。詠まれた句は…「銀行」。と、こんなイメージ。深くない?
[99]
> ズボン!(by:うめさん, No.1049)
これは擬音語なのか名詞なのか。 名詞を擬音語風に表わしているのか、擬音語を名詞風に表わしているのか。う〜ん…多分その全部なのだろう。その全部が同時に表せる言葉を発見してネオ自由律として投句した、という感じか。おもろい。強い。この句には文句のつけようがない。でも同時に論評の書きようもない。笑。…ということで少しロマンチックな妄想をしてみた。タイムマシーンにのって晩年の尾崎放哉(自由律俳句の巨匠)に会いに行き、21世紀の自由律俳句ですと言ってこの句を見せる。「ズボン!」。暗かった放哉の人生も少しは明るくなるに違いない。いや、余計落ち込むか…。
[910]
> 911. Yuna:そこから引き上げたのは あなたが… (by:のえら, No.1086)
この句は、すべてがネオ自由律の歴史からの引用で構成された句である。一つ一つの句は勿論、引用した句を並べて詠むこのスタイルさえもNo.821(by: 八重)の引用なのである。のえら氏が詠んだのにも関わらず、のえら氏の手垢が全くついていない句なのだ。とてもクールで面白いアプローチなのだが、内容が見合ってないのが残念。この手法、やはり少し無理があるのか。
奨励賞の50句に、一言づつ。
No.948(by:505):すごい。こんなのキーボードで書けるんだ−っていう驚きがある。
No.955(by:せんとりす):デジタル〜…??少し堅いかなぁ〜?
No.958(by:knomti2):暗証番号とか入力する時にでてくる記号列のようで面白いと思った。
No.969(by:かみゅ):この句たまらん。「そのころの」って…。「おしえて〜」って言われた頃かいな。笑。
No.972(by:kiku):引用?内容はさておき現役の浅草芸者(ネオ芸者とでも呼ぶべきか)というステータスが生きてて良い感じ。
No.973(by:hun):言葉の意味合いとフォントの色指定(font color=bule&red&white&gold)がマッチしている。
No.974(by:よよよちこ):純粋投句。投句のための投句。まるで、競うことから離れて一人で楽しんで投句する子供のようだ。ところで、一人で遊ぶ子供を見ると泣いてしまう私。トラウマか。笑。
No.975(by:東風):目的はなく迷いそのものをネオ自由律として投句した句、なのかな?どうであれ世界観が面白い。
No.979(by:eizo):投句番号の扱いがとても面白い。陳腐な占いのようないい加減さも笑える。要素要素をクローズアップして完成度を高くしていったらもっと面白くなると思う。
No.991(by:のえら):ネオ自由律における「律」の強調か?でかいのが良い。もっと、怖いくらいデカくても良かった。
No.1000(by:せんとりす):そいえば1000をとるためにあるような名前だ。
No.1001(by:Yuna):前回泰平賞の句とシンクロする部分がある。
No.1002(by:Yuna):どこまでも濁りない子供のような感性。
No.1005(by:いっちー):いっちーのネオジー(「ポエジー」のパクリ)が反映されてる気がする。
No.1008(by:ぇだ):衝撃的告白。いくつかのとらえ方ができ、いずれも笑える。
No.1012(by:スリップ):ネオ自史上最長の散文(?)を削除した後にこの句。なぜに?真相が気になる。でも削除しなくても面白かったかも。
No.1017-1019(by:わけわかいんない君):続けて欲しいなぁ。このシリーズ。
No.1023(by:ナポレオンソロ):出た!(芭蕉)シリーズ。偽ブランドって感じ。笑。少しも展開がないのも笑えるが、どうなんだろう…。
No.1027(by:せんとりす):出た!不可能性シリーズ。奨励賞の常連になりつつあるがもっと評価しても良いかもとか思ったり。
No.1029(by:のえら):かなり笑えた。しかし視覚的に美しくないのが難点。レシートは超えられないか?
No.1031(by:Yuna):良く考えると不可能性が急浮上する。それでいて、清潔感を保ってるのがすごい。
No.1033(by:のえら):No.598の体裁をマネし、一文字だけ変え、行為を説明する回文トートロジー句。見事なまでのウマさ。でも楽しみ方を今更説明する必要がなさそうなので奨励賞。
No.1035(by:のえら): 今回の泰平賞の生みの親とでも称すべきか。子になったり親になったり…台風の目はえら氏か。
No.1042(by:マーガレット・パーカー):一文字ずつ訳すと「バカが訳す〜!」となる仕掛け。バカはどっちだ!笑
No.1045(by:オルポゴ):「i」がこの時代のキーワードだから尚おもろい。これも見事。No.1033と同じ理由で奨励賞。
No.1047(by:Yuna):これはルビなのかな?この行為、良く考えるとかなり笑える。でもなんだか説得力があるから不思議だ。
No.1048(by:へげへげ):No.703の強烈な印象を未だに引きずってます。この世界観、この先どうなるのか。楽しみ。
No.1058(by:のえら):少し量産体制に入った感もあるが、やはり面白いものは面白い。
No.1060(by:せんとりす):かっこいい。でもコレ以上の評価は与えられません。笑
No.1066(by:D pink):No.1062のバグ(?)部分を指摘する句。正直、感謝してます。笑。
No.1070(by:マーガレット・パーカー):ああああ、相田みつおだぁ!!笑
No.1074(by:せんとりす):言葉の抽象表現主義?(だとしたら)このジャンル、開拓の余地まだまだあるんでない?
No.1081-1085(by:人 妻子):名前まで徹底して作られたシリーズだというところが◎。
No.1089(by:八重):なにか仕掛けがありそうだが良くわからん。タコライブ派って…。気になる〜。
No.1094(by:べム), 文句のつけようがあるとしたら投句番号の扱い。文字列にはかなり興味あり。
No.1097(by:D pink):史上初の動的ネオ自!元ネタの存在理由も追うと、かなり楽しめる。
No.1108(by:タップ):いくつか候補があったのか。これ一本だったのか。No.1074同様、もっともっと開拓できそう。
No.1114(by:のえら):記号の集合体が動きを表わし、空間を規定する。良く考えるとすごいこと。
No.1116(by:せんとりす):ここだけ凝縮した時間が流れてるような感覚になる。
No.1117(by:のえら):アメリカのどこかで州の法律にA=Aを定めさせようとしているアーティストがいるそうな。
No.1118(by:ma):ouou....nanka iine. nakerune. nanigeni kotta shikaketoka attarishite tanoshii...!!
No.1119(by:ホール・イン・王):爆笑。陽気なノリが急転、デカダンスへ。マンガのネタになりそう。
No.1131(by:ひろし):解読が面倒なので奨励賞(笑)。なにかありそうな感じだけで充分なので。笑
No.1132(by:せんとりす):「謎」の回文。
No.1136(by:eizo):衝撃吸収材に見えた。そしてなんか泣けた。
No.1137(by:マーガレット・パーカー):出会いの予感!
No.1141(by:D pink):なんだこりゃ〜。巨匠だぁ。
No.1144(by:Yuna):人を笑わせるためでも感心させるためでもないダジャレ。そこにネオジーあり。
No.1150(by:べム):ぶっとんでてかっこ良いのだが、投句番号の扱いが…。
No.1155(by:eizo):アート話のレスポンスとおぼしき内容。ふかい。文にもう少しリアリティーがあれば…
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≪ネオ自由律俳人講評≫
【あそこの山】
No.1010(評価B):丁寧に作られている感じで○。ブラウザを通すとこう見える
No.1099(評価B):おおお。すげえ。まさかこんな図像だとは!ブラウザを通すとこう見える
No.1139(評価C):テーブルで数字を書くという荒技。投句番号ではなく他の数字なら良かったのだが…。ブラウザを通すとこう見える
No.1140(評価C):No.1139と同じ。ブラウザを通すとこう見える
一言:ブラウザを通した図像だけではなくHTMLの体裁そのものを意識した句も見せて欲しいという気持ちもある。
【シス】
No.1053(評価D):マイペースで良いのだが、シス氏に期待するものはもっと緊張感のある表現。
No.1132(評価D):う〜ん…。テーマが少し身の丈から外れた感あり。
一言:数打ちゃ当たるくらいの気持ちで沢山投句してちょ。
【Cryptony】
No.949(評価B):大胆な構成。
No.950(評価C):「黒」の下の点々が変な生き物の足(?)に見える
No.951(評価C):笑。微妙な感じが好き。
No.1111(評価C):スキー場か?Yだけで山ができている。
No.1112(評価D):んんん…
No.1130(評価D):なんだこれ?
一言:連続投句しなくても説得力がある句も見たい。
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総評:あああ、やっと終わった…。今年も残すところあとわずか(今日は12/29/03)。今年は突っ走りましたな〜。来年はどうなるんだろう…?
と、思い来年の運勢を調べたら「2004年のあなたの運勢は、天下太平の真っ只中といったところです…」だと!すげえええええええ!!!!!俺の年、天下泰平プロジェクトの年になるっつう予言ちゃいまっか!!!!
…でもその後には「とにかく落ち着いた、でもあまり波風の立たない日々が続きそう…」だと。笑。まぁ天下泰平とはそういう意味なんでしょうがないだろうけど…。
皆様本年は本当に本当にどうもありがとうございました。誰も気付いてないかもしれないけどココで起こってることは実は大変なことなのです。来年はもっともっとスゴイことなること必至です。 これからも温かいご支援、よろしくお願いします。来年は皆で飛びましょう!!!!
あ、で、いつものように普通掲示板にてトークバトルを繰り広げます!!やっぱ、トークバトルが盛り上がらないとアレなので恥ずかしがらずに偽名でも何でも良いのでガンガン行ってくださいな!ではまた次回もよろ〜!
あ、12月期の締め切りもうすぐだ…。ふふ。やれやれだぜ。
審査委員長:施井泰平
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